「収納が足りないので、収納を増やしたい」

戸建て住宅のリフォームでは、こうしたご相談があります。

そのときに選択肢になるのが、家具店やメーカー、最近ですとホームセンターなどで購入できる「既製品の収納」と、住宅の寸法や使い方に合わせてつくる「造作収納」です。

では、どちらを選べばよいのでしょうか。

私たちは、「造作収納の方が優れている」とは考えていません。

既製品には既製品の良さがあります。

一方で、既製品ではサイズが合わなかったり、使い方にしっくりこなかったりする場所では、造作収納が適していることがあります。

大切なのは、

「造作か既製品か」ではなく、「その家で、誰が、どのように使うのか」

です。

今回は、京都の戸建て住宅で収納リフォームを考えている方に向けて、造作収納と既製品の違いや、それぞれが向いているケースについてご紹介します。

※先にリフォームの全体像を知っておきたい方は「京都の戸建てリフォームはどこから考える?暮らしの不満・住まいの不具合から考えるリフォーム」からご覧ください。

※「収納リフォーム」のポイントについて知っておきたいという方は「収納が足りないのに部屋は余っている?京都の戸建てリフォームで考えたい家の使い方」からご覧いただくと、ご自身のイメージが明確になると思います。

既製品と造作収納、どちらがいい?

まず結論から言うと、どちらが正解ということはありません。

例えば、収納したい場所に既製品がぴったり収まり、使い勝手にも問題がなければ、既製品を選ぶことは合理的な方法です。

一方で、

  • 壁の幅にぴったり合わせたい
  • 天井まで使いたい
  • 収納する物に合わせて棚の高さを変えたい
  • 既製品では少し大きすぎる
  • 既製品では少し小さすぎる
  • 変形した場所を活用したい

という場合には、造作収納が選択肢になります。

つまり、

「どちらが良いか」ではなく、「どちらがその場所と使い方に合っているか」

で考えることが大切です。

既製品の収納にはどんなメリットがあるのか?

既製品には、造作にはない良さがあります。

価格を抑えやすい

商品として大量に製造されているものは、オーダーメイドで製作するよりも費用を抑えやすい場合があります。

「収納にそれほどこだわりはない」

「決められたサイズで問題ない」

という場合には、既製品を選ぶ方が合理的なこともあります。

実物を見て選べる

家具店やメーカーのショールームなどで、

「実際にどのくらいの大きさなのか」

「扉はどう開くのか」

「棚はどのくらい入るのか」

などを確認してから選べることも、既製品のメリットです。

完成した状態をイメージしやすいという安心感があります。

商品として完成されている

既製品の収納は、多くの人が使うことを前提として設計されています。

収納量や使い勝手なども考えられているため、条件が合えば、無理に造作する必要はありません。

私たちも、

「既製品で十分使いやすいのであれば、それを使えばいい」 と考えています。

造作収納にはどんなメリットがあるのか?

一方、造作収納の大きなメリットは、その場所に合わせてつくれることです。

具体的には、幅・高さ・奥行きのすべてを合わせられる

例えば、

「壁の幅が既製品には少し合わない」

という場所があります。

既製品を置くと、左右に中途半端な隙間ができてしまう。

逆に、大きな家具を入れようとすると、数センチだけ大きくて入らない。

このような場所では、造作収納が向いています。 現場で採寸し、

  • 幅
  • 高さ
  • 奥行き

を決めて製作することで、その場所に合わせた収納をつくることができます。

収納する物に合わせてつくれる

造作収納では、

「何を収納するのか」

から考えることができます。

例えば、

  • 本
  • 食器
  • 衣類
  • 掃除道具
  • 趣味の道具
  • 家電

など。

収納する物によって、必要な高さや奥行きは違います。

本棚なら本に合わせた棚の高さにする。

掃除道具なら、掃除機やモップを立てて収納できる高さを確保する。

趣味の道具なら、大きさや重量に合わせて棚を考える。 このように、収納する物に合わせて設計できることが造作収納のメリットです。

「あと少し合わない」を解決できるのが造作収納のよいところ

収納を考えていると、

「ここに置きたいのに、既製品だと5cmくらい余る」

「もう少し奥行きが浅ければ使いやすい」

「この高さなら手が届くのに」

といったことがあります。

この「あと少し」を調整できるのが造作収納です。

特に、既存住宅では部屋の寸法が必ずしも家具に合わせてつくられているわけではありません。

そのため、既製品ではどうしてもしっくりこない場所があります。 そうした場所では、造作という選択肢が活きてきます。

キトダ工務では造作収納を自社でつくっています

キトダ工務では、壁面収納、本棚、玄関収納などの造作を行っています。

造作する場合は、現場の寸法を測り、

  • どこに置くのか
  • 何を収納するのか
  • 誰が使うのか
  • どのくらいの高さが使いやすいのか
  • 奥行きはどのくらい必要なのか

などを考えながら製作します。

既製品を置くのではなく、その場所に合わせてゼロから採寸してつくることができます。

だからこそ、

「既製品では、どうもしっくりこない」

という場所で喜んでいただけることがあります。

自社社屋の本棚も造作しています

実は、キトダ工務の自社社屋にも造作した本棚があります。

既製品を購入することもできますが、既製品ではどうしても空間にぴったりフィットしません。

そこで、自分たちで採寸して製作しています。

これは、お客様のためだけに「造作をおすすめしている」という話ではありません。

自分たちが使う場所でも、既製品より造作した方が使いやすいと判断すれば、自分たちでつくる。

そんな考え方です。

造作収納は「大きさ」より「使いやすさ」を考える

収納をつくるとき、

「できるだけたくさん収納できるようにしたい」

と考える方は多いと思います。

もちろん収納量は大切です。

しかし、収納は大きければ大きいほど便利というわけではありません。

例えば、奥行きが深すぎると、奥に入れた物が取り出しにくくなります。

棚が高すぎると、毎回脚立を使わなければならなくなるかもしれません。

収納をつくるなら、

「たくさん入るか」だけではなく、「毎日安全に使えるか」

も考える必要があります。

年齢によって「使いやすい収納」は変わります

特に45歳以降のリフォームでは、これからの暮らしも考えておきたいところです。

例えば60歳を過ぎた方の場合、脚立に乗らないと取れないような場所に、日常的に使う物を収納することはおすすめしにくくなります。

なぜなら、転倒する危険が高いからです。

「高い・低い」の感じ方は人によって違います。

だからこそ、収納する物と使う人を考え、

無理なく手が届く場所に、よく使う物を置けるようにする

ことが大切です。

照明やコンセントも収納の使いやすさを左右します

造作収納を考えるとき、収納本体だけを考えてはいけません。

例えば、収納する空間の中に照明がなければ、奥にある物が見つけにくくなります。

暗い収納は、

「探すのが面倒」

「何が入っているのか分からない」

ということにつながります。

特に年齢を重ねると視力の変化もあります。

収納の中を明るくしておくことは、使いやすさを考えるうえで重要です。

また、収納スペースのお掃除も考えておきたいところです。お掃除に掃除機を使う場合には、コンセントの位置も考えておきたいところです。

収納は、

棚や箱だけをつくれば完成するものではありません。

実際に使うときの動作まで考えてつくることが大切です。

既製品と造作を組み合わせる方法もあります

「既製品か造作か」の二択にする必要もありません。

例えば、

  • キッチン収納は既製品
  • 壁面の本棚は造作
  • クローゼットの内部だけ造作
  • 玄関収納は既製品を使い、一部を造作

というように、組み合わせることもできます。

これは費用と使いやすさのバランスを考えるうえでも有効です。

すべてを造作にする必要がなければ、既製品を利用する。

どうしても既製品では合わない部分だけ造作する。

こうした考え方も、収納リフォームでは大切です。

造作収納が向いているのは、こんな場所です

例えば、次のような場所では造作収納が活きてきます。

  • 壁いっぱいに本棚をつくりたい
  • 既製品では幅が合わない
  • 変形したスペースを活用したい
  • 階段下などのデッドスペースを使いたい
  • 玄関の形に合わせたい
  • 趣味の道具を収納したい
  • 部屋の雰囲気に合わせたい
  • 収納する物に合わせて棚を設計したい

逆に、標準的な寸法で問題なく使えるのであれば、既製品の方が適している場合もあります。

造作収納にもデメリットがあります

造作収納にはメリットだけではありません。

例えば、

  • 既製品より費用が高くなる場合がある
  • 完成後に簡単に交換することが難しい
  • 製作前に細かな打ち合わせが必要
  • つくるものによっては完成まで時間がかかる

といった点があります。

そのため、

「造作収納だから良い」

というわけではありません。

費用を抑えたい場合や、将来的に家具を買い替えたい場合などは、既製品の方が適していることもあります。

大切なのは、自分達の暮らしから見て、メリットとデメリットを理解したうえで選ぶことです。

造作収納と既製品、どうやって選べばいい?

迷ったときは、次のように考えてみると分かりやすくなります。

優先したいこと向いている選択
費用を抑えたい既製品
商品を実際に見て選びたい既製品
サイズをぴったり合わせたい造作
変形した場所を活用したい造作
収納する物に合わせたい造作
家の雰囲気に合わせたい造作
費用と使いやすさを両立したい組み合わせ

ただし、これはあくまで目安です。

実際には、住宅の状態や収納する物、予算、これからの暮らし方によって答えは変わります。

造作収納は「収納」だけではありません

造作という方法は、物をしまうための収納だけに使うものではありません。

キトダ工務では、映画がお好きなお客様から、大型ディスプレイを置くための台を造作でご依頼いただいたことがあります。

また、リビングと廊下を隔てる扉を造作したこともあります。

その扉には少し曲線を持たせ、明かりを取り込むためにステンドグラスを入れました。

どちらも、

「既製品ではなく、自分たちの暮らしに合わせたものをつくりたい」

というお客様のこだわりを形にしたものです。

造作の面白さは、収納量を増やすことだけではありません。

自分たちの暮らしに合ったものを、空間に合わせてつくれること。 そこにも価値があります。

キトダ工務が考える「造作収納」

私たちは、造作収納を特別なものとして考えているわけではありません。

既製品で十分なら既製品を使う。

既製品ではサイズや使い勝手が合わないなら、造作する。

その場所にとって、どちらが良いのかを考えます。 そして造作する場合には、

  • 現場の寸法
  • 収納する物
  • 使用する人
  • 高さ
  • 幅
  • 奥行き
  • 照明
  • コンセント
  • 将来の使い方

まで考えてつくります。

キトダ工務では、職人としての技術と経験を持った自社スタッフが現場を監理しています。

だからこそ、単に「収納家具を置く」という視点ではなく、

「この家で、この収納をどう使うのか」

まで考えながら提案することができます。

収納リフォームは「これからの暮らし」を考えること

前の記事でもご紹介したように、「収納が足りない」という悩みがあったとしても、収納を増やせば必ず解決するとは限りません。

  • 使っていない部屋を活用する。
  • 既存の収納を作り変える。
  • 屋外収納を利用する。
  • 既製品を選ぶ。
  • 造作収納をつくる。

場合によっては、部屋そのものの使い方を変える。

大切なのは、

「収納をどれだけ増やすか」ではなく、「これからどんな暮らしをしたいか」 です。

さいごに|造作収納と既製品、正解は「その家と暮らし」によって変わります

造作収納と既製品には、それぞれにメリットがあります。

造作収納は、

  • サイズを合わせられる
  • 収納する物に合わせられる
  • 空間を無駄なく使える
  • 自分たちのこだわりを形にできる

というメリットがあります。

一方、既製品には、

  • 費用を抑えやすい
  • 実物を見て選べる
  • 商品として完成されている

という良さがあります。

だからこそ、

「造作収納の方が優れている」わけではありません。

既製品で十分なら既製品を使う。

既製品ではどうしてもしっくりこない場所なら造作する。

必要に応じて、両方を組み合わせる。

その家で暮らす人にとって、どの方法が一番使いやすいのかを考えることが大切です。

キトダ工務では、収納そのものだけではなく、

「この家で、これからどんな暮らしをしたいのか」

というところから、一緒に考えることを大切にしています。

「収納が足りないけれど、何をしたらいいのか分からない」

「既製品と造作、どちらが合っているのか分からない」

という段階でも構いません。

今の住まいで感じている不便や、これから実現したい暮らしをお聞かせください。

収納をつくることではなく、暮らしやすい家をつくること。

それが、私たちが考える収納リフォームです。