相続した空き家、相続してから長期に渡って放置した空き家。どちらも「資産」です。

この資産ですが、上手にリフォームすることで「使える資産」に生まれ変わります。

相続した空き家をどうするか

相続した空き家(不動産)ですが、一般的には次のような活用方法があります。

空き家バンク

自治体のホームページを検索していただくと出てきます。空き家バンクに登録することで、欲しい人とマッチングできる大変意味のあるサービスです。

空き家バンクは使い勝手が良いのですが、難点は「なかなか欲しい人が現れない」ことです。気長に待てる人には向きます。

不動産会社へ売る(買ってもらう)

このケースが多いと思います。やはり「餅は餅屋」ですから、不動産会社という不動産のプロに売るのが手っ取り早いのは言うまでもありません。

ただ、不動産会社へ売る場合ですが、大まかには次の2つの方法があります。

  • 買取り
  • 委託

買取りは不動産会社に買ってもらいます。そのため、契約がすぐに進みますので即現金化できます。問題は、思っている以上に「安くしか買ってもらえないこと」です。

委託は不動産会社を通じて欲しい人を見つけてもらいます。不動産会社は売れたときに手数料をもらうことで収益とする方法です。即現金化を求めない人は、こちらの方が少しでも高く売れる可能性があります。

不動産投資をする

不動産投資という方法もあります。リフォームして売却することもできますし、賃貸物件として運用することもできます。

未来のことを考えると、この方法がおすすめではあります。

自分達で使う

老後に使うという方法もあります。リフォームで少しは手を入れないといけませんが、自分の好きなようにできるので「趣味の家」にすることもできれば、気分転換の「別宅」としても使うことができます。

空き家をリフォームするメリット

特に急いで現金化する必要はなく、手持ちの資金も少しは余裕がある。こういう50代~60代の方ですと、空き家をリフォームするのがおすすめです。というのも、次のようなメリットがあるからです。

資産運用に使える

先ほども少しふれましたが、空き家を解体せずにリフォームすることで、使える資産に生まれ変わります。特に賃貸物件として生まれ変われば、不動産収入を得ることも可能になります。

地域によってはリフォームの方法次第で、

  • 民泊
  • 店舗
  • 事務所

というような活用も可能になります。年金以外の収入源として運用できる可能性もあります。

セカンドライフを有意義に

カンドライフに合わせた住環境を実現できます。

例えば、趣味の家にすることもできますし、ゆったりと過ごしたいときだけ使う「別宅」としても活用することもできます。

特に空き家が地方にある場合ですと、気分転換の場所として使えるのでセカンドライフの楽しさも倍増するはず。

税制・補助金の優遇

地域によって(自治体によって)違いはありますが、概ねどこの自治体でも何らかの税制優遇、補助金が整備されています。

これは政府が力を入れている「空き家対策」の一環です。

空き家をリフォームするデメリット

次のような4つのデメリットがあります。

修繕費が高くなる可能性がある

空き家の放置期間が関係してきます。長年放置されていればいるほど、建物の基礎部分や配管の劣化が進んでいます。また、屋根や外壁の劣化も深刻になってきていますので、大規模な修繕が必要になることが多いためです。 そのため当初予算よりも、予算オーバーしてしまうこともあります。この辺りは、後でお話するデメリットのひとつ「業者選び」で注意すれば適切な見積りが出てきますのでデメリットとはいえ回避することが可能です。

構造的制限

昔は問題なかったけれど、現代の基準に照らし合わせると「NG」という空き家があります。

  • 耐震性能
  • 断熱性能
  • 建築基準

こうしたことが変化しているため、基準を満たすための工事が必要になるケースもあります。

資産価値が上がらない場合もある

空き家がある地域によっては、リフォームして賃貸物件としても運用しても需要が少なく期待するほどの収益が見込めないこともあります。

また、リフォームしてから売却しようとしても、こちらも需要が少ないとなかなか期待している金額で売れないということもあります。 空き家をリフォームして不動産投資する場合は、地域の需要を確かめておく必要があります。

業者選びが難しい

空き家リフォームの実績がある業者でないと、良い提案が出てきません。また、工事が長引いたり仕上がりに満足できないこともあります。 依頼を考えている業者さんのホームページなどで、過去の実績情報をしっかりみておきましょう。また、業者さんと契約する前に、ホームページなどで公開していない空き家リフォームの実績内容を見せてもらうことも大切です。

自分達で使う場合のポイント

空き家を不動産投資ではなく、自分達のセカンドライフに使いたい場合、次のポイントを合わせて検討してもらえると、使い勝手が良くて安心できる第二の居場所に生まれ変わります。

リフォーム5つの視点

  1. 安全性
  2. 省エネ
  3. メンテナンス性
  4. 生活動線
  5. 将来の使い方

それではひとつずつ見ていきます。

1.安全性

高齢期を見据えた対策を忘れないようにしてください。具体的には、

  • 階段や敷居の段差解消
  • 手すりの設置
  • 滑りにくい床材の使用

2.省エネ

光熱費の負担も上がっている昨今、できるだけ支出を抑える工夫をしておきましょう。

  • 断熱性能アップ
  • 窓ガラスやサッシの改修
  • 高効率な給湯器への交換

給湯器に関しては、新しいタイプの方が省エネ性能もアップしています。

3.メンテナンス性

手間を減らせる工夫が大切です。

  • 掃除がしやすい
  • 劣化しにくい
  • 維持費が安い

4.生活動線

無理をしない暮らしを設計しましょう。

  • 踏み台を使わないと届かない場所に物置を作らない
  • 屈まないと使えない場所に重いものを置かないようにする
  • 生活で頻繁に使う部分(トイレなど)は1階へ集める

5.将来の使い方

これから5年、10年経過したとき、どんな風に使いたいのかを考えておきましょう。

  • 賃貸として使いたいかも
  • 趣味の部屋として充実したいかも
  • 子ども世代の別宅として使ってほしいかも

活用する可能性を考えましょう。

リフォーム優先順位

部位別に申し上げます。

  1. 1階リビング+寝室
  2. 浴室・洗面・トイレ
  3. 断熱・窓・玄関
  4. 外壁・屋根・基礎

こういう優先順位で考えておくと使いやすくなります。

まずは過ごすことの多い部屋と寝室をリフォーム。つづいて、毎日使う水回りをリフォーム。その次に、より過ごしやすくする工夫をして、最後は美観も考えた外回り。

こんな風に考えてみてください。

さいごに

相続された家、相続してから月日が経過している空き家。どちらもリフォームすることで使える物件に生まれ変わります。

空き家のまま放置していても傷みが進むだけですし、最近では空き家対策に関しても自治体単位で少しずつ「持ち主の負担が増える」制度を計画または実行しているところが出てきています。

放っておいても良いことはありませんので、可能ならリフォームして価値をアップし「使える物件」にしてください。