リフォームや住宅建築を生業としている自分達としては大変嘆かわしい話をします。それは「点検商法」と呼ばれる悪質な詐欺的行為です。

昨今、京都や大阪、滋賀でも増えてきているため注意喚起の意味も含めてお伝えしたいと思います。

点検商法とはどんなものか

点検商法とは、住宅の外観や設備などを「無償」または「格安」で点検すると言って住宅へ訪問。

訪問後は、

  • このままだと危険です!
  • 放っておくと大きな被害が出ます
  • 今のうちに工事しないと住めなくなります

というようなことを言ってお客様を不安にします。そして、お客様が不安になった頃合いを見計らって、本当なら必要のない部分の工事を契約させます。

点検商法のパターン

点検商法には次のようなパターンがあります。

  • 訪問販売が多い
  • 高齢者をターゲットにすることが多い
  • 大げさに「危険」を謳う

また、次のような勧誘トークも多いので知っておいてください。

  • 近所で工事をしている業者ですが工事をしていて、お宅の瓦がずれているのを見かけたので点検させてほしい
  • 屋根の一部が壊れているので、このままだと雨漏りして家が傷んで住めなくなります
  • 近隣の工事をしている「ついで」があるので、今なら「格安」で工事ができます

さらに最近クセの悪いのが、

  • 勝手に写真を撮って「あたかも壊れている証拠」のように見せながら説明する
  • 勝手にドローンを飛ばして屋根の写真を見せながら説明する

こういう輩もいます。これらの行動や言動は、相手は詐欺行為をしているため、如何にして説得力を持たせるかに力を注いでいる証拠と言えます。

点検商法で狙われやすい箇所

  • 外壁
  • 屋根
  • 床下
  • シロアリ対策
  • 給湯器

こういう箇所から話をもってくることが多いです。特に最近は「給湯器」を使ってくるところが増えています。外壁や屋根は「点検商法ではないのか」という認識が増えたことで警戒されるようになったためだと思います。

点検商法の対策と注意点

  • 無料点検、近所で工事をしている、今だけの特別価格、これらの言葉が出てきたら危険信号点灯です
  • 訪問業者を住宅に入れてはいけません
  • 訪問業者が勝手に住宅や敷地へ入ることを許さないでください
  • 訪問業者を屋根に昇らせないでください(壊される可能性が高いです)

仮に、断りきれずに話が進んでしまった場合

  • 契約書を提示しないのは危険信号なので注意!
  • クーリングオフの説明がないのは危険ですので注意!
  • 契約書は必ず書面でもらい、その場で隅々まで読む
  • いくら急かされても簡単に署名しない、ハンコを押さない

こういう部分を意識してください。

点検商法の断り方

  • 「不要です」ときっぱりと断る(曖昧な返事はダメです)
  • 「帰ってください」ときっぱりと断る(曖昧な返事はダメです)
  • 「工事は考えていませんし、写真も要りません」とハッキリ伝える
  • 「必要なら自分で業者を選びます」と伝える

それでも、食い下がってきたら

  • 会社名
  • 電話番号
  • 名刺
  • 工事許可番号

これらを確認させてくださいと伝える

それでも居座ってきたら、迷わずに警察へ電話してください。「訪問販売がやってきて、買う気がないので帰ってほしいと頼んでいるのに帰らないから困っている」と伝えればOKです。後は警察が到着するのを待ってください。

やってはいけないことは、スマートフォンを相手に向けて写真や動画を撮ることです。相手を逆上させてしまう可能性がありますので注意してください。お家に防犯カメラが設置されていれば撮影されているはずなので、わざわざリスクを取る必要はありません。

契約してしまった場合

とにかく悩まずに行動してください。「待ったなし」で素早い対応が必要です。

  • 契約書を確認し、クーリングオフの記載をチェック
  • クーリングオフの期間(通常は8日以内)なら書面で相手に通知
  • クーリングオフ期間外なら消費生活センターへ相談
  • 工事が始まってしまった場合は、支払いを保留にし、契約書や見積書などを整理し、弁護士へ相談

クーリングオフ期間の通知書面例

クーリングオフ期間内なら、書面で契約解除の通知ができます。

もし、クーリングオフ期間内に通知したにも関わらず、契約解除できないとか、工事を無理やり進めようとしてきた場合は、弁護士に相談してください(この場合「民事トラブル」なので警察は介入してくれません)。

<クーリングオフ通知文例>

  • 令和〇年〇月〇日付で契約したリフォーム工事について、
  • 特定商取引法に基づき、クーリングオフを行使し、契約を解除いたします。
  • 契約者名:〇〇〇〇
  • 契約日:令和〇年〇月〇日
  • 契約内容:給湯器交換工事
  • 販売会社名:〇〇リフォーム株式会社
  • 通知日:令和〇年〇月〇日
  • 住所:京都府○○市○○番地
  • 署名:〇〇〇〇

<通知の送り方>

書留や内容証明郵便で「送った証拠を残す方法」を使ってください(これ大事です)。

法的にはハガキでも有効ですが、ハガキであっても「証拠を残す」方法を選んでください。

どうしていいかパニック!

  • 契約書がない(見つからない)
  • 契約書をもらっていない
  • クーリングオフできないと言ってきた
  • 工事が勝手に始まった
  • 工事が終わってないのに請求がきた
  • 家族に相談しづらい

悩んでいても解決しません。電話で局番なしの「188」へ相談してください。

電話番号 局番なしの「188」消費者ホットライン

あなたがお住いの近くにある、消費生活相談窓口に案内してもらえます。

さいごに

点検商法というのは、本当に許せない行為です。人を騙して工事をするというのは詐欺です。やっても良い理由は、何一つありません。

とにかく知らない業者風の人が訪問してきて「屋根が~」「外壁が~」「給湯器が~」「住宅が~」などと言い出したら追い返しましょう。